2012年09月25日

(憲法)私人間効力について〜学説と判例〜


今日は、私人間における人権保障についてです。

本来、憲法の種々の人権規定は国家と私人とを規律するものであって、私人間については私的自治の原則で解決すべきであって、憲法は適用されないはずなんです。

しかし、現代においては、公権力に匹敵するような社会的権力も多くあり、そういった権力による人権侵害の可能性も高まってきています。そこで、憲法の人権規定を私人間でも適用できないか、ということが問題となっています。


これに対しては3つの学説があります。結構重要です。

1、無効力説

2、直接適用説

3、間接適用説 
   です。


無効力説というのは、私人間には憲法の規定は適用されないというものです。

(理由)
憲法の人権規定はあくまで国家と私人とを規律するためのものであって、私人間の争いは私的自治の原則で解決すべき


直接適用説というのは、文字通り、憲法の人権規定は私人間においても直接適用され、私人が私人に対して直憲法上の権利を主張することができるというものです。

(理由)
社会的権力が公権力に匹敵する力を持っているのに、私人間に憲法が適用されないとするのは、憲法の人権尊重の精神に反することとなるから。


間接適用説というのは、憲法の規定が私人間に直接適用されはしないものの、憲法の趣旨を私法の一般条項(民法1条、90条)を介して適用し、憲法の人権規定の価値を私人間にも及ぼすというものです。

(理由)
無効力説では憲法の人権保障の精神が十分役目を果たせず、私人の権利を保護することはできない。かといって直接適用説では私的自治の原則を否定してしまう可能性が出てくる。


判例・通説は間接適用説の立場に立っています。重要な判例をあげておきます。

三菱樹脂事件(最大判昭48.12.12)

日産自動車事件(最大判昭56.3.24)

昭和女子大事件(最大判昭49.7.19)


尚、憲法の人権規定の中でも権利の性質上、私人間に直接適用されるものもあります。
→ 15条4項・18条・24条・27条3項・28条




以上、お読みいただきありがとうございました。



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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 10:29| Comment(2) | TrackBack(0) | (憲法)人権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。
最近こちらのブログに辿り着きました。
大変役立っております。本当にありがとうございます。
昨年宅建等の不動産系資格をいくつか取得し、今年初めて行政書士試験を受ける予定をし、大手予備校を利用しています。先週から、憲法の授業に入りYASUHIROさんの人権の所を読んで知識をしっかり確定させました。
また、憲法人権の他の面でも是非教えていただけたらありがたく思います。
よろしくお願い致します。
大変申し訳ないのですが、間接適用説の判例(三菱樹脂事件等)は、学校の方で類推適用例としてあげられていました。私の中では間接適用と類推適用は多少の違いはあるけれど、ほぼ同じ解釈であると理解していますが、それでよろしいのでしょうか。
Posted by ぷぅのすけ at 2013年06月06日 10:53
ぷぅのすけ様

返事が遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。

そのように言っていただけますとブログをやっている甲斐があるってものです。ありがとうございます。

さて、ご質問の間接適用と類推適用についてですが、

間接適用と類推適用は根本的に違うと認識しています。

間接適用は憲法の趣旨を民法などの一般条項などを通して取り込むときに使うもの。(民事紛争に憲法を持ち出すための法解釈)

類推適用は民法94条2項類推適用が有名ですが、形式的には法令が適用されない事例に、類似の事例であるという理由で適用する場合のもの。(民事紛争に民法を幅広く適用させるための法解釈)

です。

なので憲法の私人間効力には類推適用説なるものはないかと認識しています。

ご質問ありがとうございました。

受験勉強頑張ってください^^



Posted by 資格アドバイザー YASUHIRO at 2013年06月22日 18:09
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