2013年03月03日

民法第534条 債権者の危険負担について



今回は民法の危険負担について基本的な解説をしていきます。


危険負担の分野も結構苦手な人は多いのではないでしょうか!?


まずは基本をしっかり理解することが重要です。


では条文から、

第534条第1項  
特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。


始めてこの条文を見た方は‘ちんぷんかんぷん’なのではないでしょうか!


この条文を行政書士試験に合わせて簡単に要約してみます。


‘家を購入し、まだ引き渡しが行われていない間に落雷で家が燃えてしまった場合、買主は当然家を手にすることはできないけれど、代金は売主に払いなさい’


こうなります。


なんだか買主に一方的に不利な規定ですよね〜。家は手に入らないのに金だけ払えって、そりゃないですよね。


事例を見ていきましょう。


【事例】
AはA所有の建物をBに売却し、契約を済ませた。しかし、Bに引渡をする前にその建物は落雷によって全焼した。この場合、BはAに代金を払う必要があるのか?


まず、条文上の言葉の整理です。


特定物…具体的な取引に際して、当事者がその物の個性に着目した物。(中古品は全て特定物、新築でも家は全て特定物)

双務契約…契約当事者双方が債務を負う契約のこと(売買契約、賃貸借契約、請負契約など)

債務者…危険負担においては滅失損傷した物に着目し、債務者と言えば物の引渡債務を負っている売主のことを指します。

債権者…危険負担においては滅失損傷した物に着目し、債権者と言えば物の引渡債権を持っている買主のことを指します。


以上の事を踏まえて、


家(特定物)の売買契約(双務契約)を済ませたが、引渡前に落雷により全焼(債務者の責めに帰することができない事由によって滅失)したので、その滅失は債権者(買主)の負担となり、代金を払わなければならない。


となります。



仮に、売買契約成立前に落雷により家が全焼していたとした場合は、そもそも契約前に目的物が存在していなかったという事で、契約不成立で危険負担の問題は存在しません。


また、売買契約成立当初に建物に欠陥があった場合は、民法570条の売主の瑕疵担保責任の問題となります。


さらに、売買契約成立後引渡前でも、売主(債務者)の過失による滅失・損傷であれば、民法415条による契約上の債務不履行責任の問題になります。


そして、引渡後に落雷によって滅失した場合はもはや買主が責任を負うのは当然のことです。


危険負担の問題というのは、契約成立後、引渡前に債務者(売主)の過失なく目的物が滅失損傷した場合に登場するのです。


落雷で全焼という危険をどちらが負担するのか…これを民法が定めているのです。


民法は特定物に関しては債権者(買主)が負担しろと言っています。これを債権者主義と言います。(もっとも実務上は、特約で債権者主義を排除しているものが多いですが)



【答え】
BはAに代金を払う必要がある。


お読みいただきありがとうございました。






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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 16:08| Comment(2) | TrackBack(0) | (民法)危険負担 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログ始めました。
宜しくお願いします。

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http://nori0289750.blog.fc2.com/

Posted by ・・・ at 2013年03月03日 16:15
突然,申し訳ありません。
今回の記事は,危険負担の問題と種類債権の調達義務の問題を混同しているきがします。
そもそも,特定物債権の場合、所有権は契約時に債権者へ移転します。物はすでに債権者所有となっているため、債務者による物の調達はなされたと考え、その義務はなくなります(ただし債務不履行や危険負担の問題は残ります)。

それに対し種類債権の場合、特定するまでは所有権は移転しないので、調達義務は残ります。
またこの場合、滅失した物と同種の物が市場に存在する限り、調達(債務の履行)は可能なので、履行不能ともなりません。

債務者主義の事例でたとえば,
者の引き渡し債務だけにとらわれるわけではなく,
コンサートを実施するし債務
賃貸借債務
なども想定できるわけで,この点はどうですか?
Posted by ないとろん at 2015年02月20日 05:50
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