2013年03月11日

民法第536条 債務者の危険負担について



前回は不特定物の特定化を解説しました。


今日は536条1項の解説です。


民法第536条第1項
前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。


債務者主義の規定です。民法では債務者主義が原則なのです。


まずは事例です。


【事例】
Aが家電量販店Bにて、新品のテレビ一台を注文した。テレビはAが家電量販店Bに引き取りに行く約束であり、引取日は3月10日である。しかし、引取日の前日、大地震が起き、その影響でテレビが滅失してしまい、Aはテレビを取りに行くことができなかった。

この場合、法律上はどう考えることができるのか?



まず、Aがテレビを注文をした段階では目的物であるテレビは不特定物です。


そして、今回は債権者Aが家電量販店Bまで引き取りに行くという取立債務なので、不特定物が特定するのは、


‘債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了したとき’です。つまり例えば、家電量販店が在庫から一台のテレビを選び出し、買主にそれを通知した時などが考えられます。



2つの場合が考えられます。

1、地震が起きた時に目的物が特定化していた場合
2、地震が起きた時に目的物が特定化していなかった場合

です。


1について、

特定化していた場合はもうすでにやりましたね。そう、債権者主義でしたね。


この場合、債権者はAなので、Aはテレビを入手できない上に、代金も支払わなければいけないってやつでしたね。


2について、

目的物が特定化していない場合です。つまり、目的物がまだ不特定物である場合です。(まだ家電量販店Bが買主Aに具体的なテレビはこれにしますなどと通知していない)


この段階で、地震などの不可抗力で目的物が滅失した場合はどうなるのでしょうか。


この場合は第536条1項により債務者主義が適用になります。


さらに、特定物の売主には引渡時まで善管注意義務(第400条)がありますが、不特定物の売主には調達義務と言って善管注意義務より重たい義務が課されます。


なので、家電量販店Bは新たに同じ新品のテレビを市場から探して(調達して)Aに引き渡さなくてはならないのです。


不特定物の売主はとても重たい責任を負っていることになります。


特定物の場合は、不可抗力で滅失した場合、新たに調達する必要もなく、さらには代金まで請求できたのに(債権者主義)、


不特定物の場合は、不可抗力で滅失した場合、新たに同じものを調達しなければならないし、代金の請求もまだできません(債務者主義)(536条1項)


ただ、不特定物も特定化してしまえば、売主の義務も調達義務から善管注意義務へと軽減されます。


なので、家電量販店Bは同じテレビを探してAに対して引渡し、代金もそれまで請求することは出来ないとなります。


今回の事例の場合、特定してるとしてないとでは大きく結果が違ったわけですが、ちょっとややこしいですよね〜。



<ちょっとおさらい>
特定物の場合

・契約時に所有権と危険が移転する。

・不可抗力で目的物が滅失した場合、債権者主義(買主が泣く)

・売主の注意義務は引渡時まで善管注意義務

不特定物の場合

・契約時に所有権と危険は移転しない。

・不特定物が特定すると所有権と危険が移転する。

・不可抗力で目的物が滅失した場合は債務者主義(売主が泣く)

・売主の義務は特定する前は調達義務(重たい義務)、特定後は善管注意義務(軽い義務)


【問題】
目的物の種類を定めて売買契約をした場合、目的物が特定しない間に不可抗力によってその履行が不能となったときは、売主は、買主に代金を請求することができない。



【答え】



【解説】
目的物がまだ特定していない段階で不可抗力により履行不能となっているので、債権者主義は適用にならず、債務者主義が適用され債務者が泣くこととなります。(536条1項)


こんな感じでしょうか。


いや〜そこは違うだろ〜とか意見のある方はコメントでお知らせください。




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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 11:18| Comment(2) | TrackBack(0) | (民法)危険負担 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本日サーフィンしてたどり着きました、で質問です。
2013年03月11日
民法第536条 債務者の危険負担について
の最後の問題の解答で「債務者が泣くこととなります。」
は「債権者」の間違いではないのでしょうか?
Posted by shikaku at 2015年07月12日 04:12
不特定物債務場合は同種の物を市場から調達できる限り履行不能で消滅することはないので、危険負担は問題とならず、それゆえ代金債務は存続すると思います。
Posted by 通りすがり at 2016年07月14日 00:12
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