2013年06月23日

賃借権の譲渡・転貸について〜民法612条 信頼関係理論



前回、612条第2項で借主の無断譲渡・転貸に対して貸主には賃貸借契約の解除権があるという話をしました。


しかし、この貸主の解除権…絶対的かというとそうでもないのです(解除権の制限)

どういう事かと言いますと…まず判例を紹介いたします。


【判例】(最判昭28.9.25民集7-9-979)
賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用・収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある時は、賃貸人は本条二項により契約を解除することができない。


なるほど〜、無断譲渡・転貸をした場合でも解除できない場合があるようですね〜。


その場合とは、


`賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある時’

と判例は言っています。


簡単に言うと、


`借主の無断譲渡・転貸が貸主に対して背信的でない場合'(信頼が裏切られてない場合)


と言いかえることができそうです。

背信的とは…信頼や約束を裏切るようなこと。信義にそむくようなことを指します


そうです。いくら借主が無断譲渡・転貸をしたとしてもそれが貸主に対して背信的でなければ貸主は契約の解除ができません。


では、借主の行為が背信的でない場合とはどのような場合を指すのでしょうか?


一つ判例を紹介しておきましょうか。

【判例】(最判昭44.4.24)
夫は宅地を賃借し妻はその地上に建物を所有して同居生活をしていた夫婦の離婚に伴い、夫が妻へ借地権を譲渡した場合において、賃貸人は右同居生活及び妻の建物所有を知って夫に宅地を賃貸したものである等の事情がある時は、借地権の譲渡につき賃貸人の承諾がなくても、賃貸人に対する背信的行為とは認められない特別の事情があるというべきである。


貸主は妻が建物所有であるということと、夫と同居生活であるということを知って賃貸しています。この場合、借地権者が夫から妻へ変わったとしても貸主に対する背信的行為とは言えないということですね。


ちょっと難しいでしょうか。


そもそも、無断譲渡・転貸をするという事自体が背信的行為なんじゃないか!?と思われるかもしれませんが、判例はその上で`背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある時’に契約の解除を制限するんです。


あまり深く考えると頭が混乱してしまいますが、行政書士の試験においてはそう深くまで入り込む必要はないかと思います。


その他、`特段の事情’が認められたケースとして、借地上の建物を孫に贈与したケースや、個人事業者が法人化したケースで経営に実質的に変化がないケースなどがあります。


【問題】
Aが所有する土地を賃借していたBが、Aの承諾を得ずに、Cに対して当該土地を転貸した場合には、Bの当該転貸行為がAに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があったとしても、AはBとの賃貸借契約を解除することができる。


【答え】
×

賃貸借契約は貸主と借主の信頼関係が重視されます。その信頼関係が壊れた時に貸主は契約の解除をすることができる…これを信頼関係理論といいます。


本日もお読みいただきありがとうございました^^




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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 15:01| Comment(0) | TrackBack(0) | (民法)賃貸借 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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