2013年08月11日

(民法)第406条〜第411条 選択債権について その2



では前回の事例の解説に移ります。


【事例】
AはBと以下のような内容の売買契約をしました。
「AはA所有の甲時計又は乙時計のどちらかをBに対して売却する。」

そこで、以下のような場合において、どのような結論となるか?


1,契約よりも前の日に、甲時計が滅失していた場合
2,甲時計が落雷により滅失した場合(不可効力による場合)
3.選択権がAにある場合で、Aの過失で甲時計が滅失した場合
4,選択権がBにある場合で、Bの過失で甲時計が滅失した場合
5,選択権がAにある場合で、Bの過失で甲時計が滅失した場合
6,選択権がBにある場合で、Aの過失で甲時計が滅失した場合



1について、

条文の確認です。

第410条 不能による選択債権の特定
1 債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。


契約の目的物がそもそも存在していない場合、その契約は成立しません。

契約より前の日に甲時計が滅失し存在していなければ、甲時計についての契約は成立せず、よって契約内容は乙時計のみを目的とした売買契約であったことになります。

目的物は当然、乙時計に特定されます。


2について、

ここからは契約後の問題です。

落雷により滅失したのですから、これは不可抗力と言っていいでしょう。

ではこの場合、目的物は乙時計のみということになるのでしょうか?

第410条 不能による選択債権の特定
1 債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。


後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものついて存在する。'とありますね。

つまり、‘残存するもの'=‘乙時計'となり、目的物は乙時計に特定されます。


3について、

ここからは過失の問題です。

条文の確認です。

第410条 不能による選択債権の特定
1 債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。
2 選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、前項の規定は、適用しない。



選択権を有しない当事者の過失により、給付が不能となった場合は、前項の規定は適用されません。つまり、目的物は特定されません


逆に言えば、選択権を有する当事者の過失による給付の不能であれば、目的物は特定されるということになります。


選択権者が債務者Aで、その選択権者であるAの過失で甲時計が滅失しているので、契約の目的物は乙時計に特定されます


4について、

今度は選択権が債権者Bにある場合に、Bの過失で甲時計が滅失した場合です。

これも、選択権者の過失による滅失ですから、目的物は乙時計に特定することとなります。


5について、

今度は、選択権者が債務者Aで、過失により滅失させたのが選択権者ではないBであるという場合です。

選択権者ではないBが滅失させているので、第410条の第2項が適用され、目的物は特定せず、選択権者であるAは依然として、乙時計はもちろんのこと、滅失した甲時計を選択することも可能です。


6について、

最後は選択権者が債権者であるB、過失により滅失させたのが選択権のないAという場合です。

この場合も、選択権者ではないAが過失により滅失させていますので、目的物は特定せず、Bは依然として甲時計、乙時計のどちらを選択することも可能です。

ただ、Bが滅失した甲時計を選択した場合、滅失しているわけなので履行は不能です。したがって債務不履行による損害賠償性請求の問題となることとなります。


少しマニアックな問題でしたが、選択権を有するのはどちらか、また、過失はどちらにあるのかを把握できれば簡単に解ける問題です。

選択権者の過失⇒目的物は特定する
選択権者ではない者の過失⇒目的物は特定しない



最後に判例の紹介です。



【判例】(最判昭42・2・23)
土地の一部を目的とする賃貸借において、当該契約の趣旨に適した場所が相当数あるときは、その賃借部分を特定して引き渡す賃貸人の債務は、選択債務にあたる。




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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | (民法)選択債権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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