2013年09月01日

(憲法)外務省機密漏洩事件



おはようございます。

少しずつですが涼しくなってきましたね♪(昼間はまだ暑いですが…)

今日から9月に突入です。試験まで残すところ2か月と少しとなりました。焦ってらっしゃる方もいるのではないでしょうか?

ここからの2カ月はとても重要で、決して手を抜くことはできません。気合いを入れていきましょう!



突然ですが、皆さんは人を「そそのかし」た事ってあります?


そそのかしとは…よくない事柄に関して、誘ったりおだてたりして、それを行うように仕向けること。という意味です。


本日は、外務省の職員をそそのかし、その機密を入手して国家公務員法違反で起訴されたとある記者の話です。


【事例】
毎日新聞政治部の記者A(男)は、国家機密の文書を入手する目的で、外務省の担当者B(女)に積極的に近づき、自分に対して好意を抱かせ、肉体関係を持つまでに至った。その関係を利用して、AはBに対して執拗に機密文書を持ちだすように仕向け、十数回にわたり機密文書を持ちださせた。Aは国家機密の漏えいをそそのかしたとして国家公務員法111条、109条12号、100条1項違反で起訴された。


もう30年以上も前の事件ですが、記者魂というものはすごいものを感じさせます。今ではさすがにこのような取材活動はしていないと思いますが、プロ根性を感じさせます。ただ、法令に違反してはいけませんが…


さて、この事件、AはBをそそのかしたとして起訴されたわけですが、一体、そそのかしとは何なのか、又、そそのかしであれば全ての取材が違法性を帯びるのかなど、取材の自由との兼ね合いが問題となります。


判例は、

国家公務員法111条にいう同法109条12号、100条1項所定の行為の「そそのかし」とは、右109条12号、100条1項所定の秘密漏示行為を実行させる目的をもつて、公務員に対し、その行為を実行する決意を新に生じさせるに足りる慫慂行為をすることを意味するもの

 ※慫慂(しょうよう)…そうするように誘って、しきりに勧めること

とし、Aの行為を国家公務員法111条、109条12号、100条1項の「そそのかし」だとしました。


国家公務員法111条
第109条第2号より第4号まで及び第12号又は前条第1項第1号、第3号から第7号まで、第9号から第15号まで、第18号及び第20号に掲げる行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし又はほう助をした者は、それぞれ各本条の刑に処する。



では、そそのかし行為であれば、全ての取材活動が違法性を帯びるのか?

判例は、

報道機関の国政に関する報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、いわゆる国民の知る権利に奉仕するものであるから、報道の自由は、憲法21条が保障する表現の自由のうちでも特に重要なものであり、また、このような報道が正しい内容をもつためには、報道のための取材の自由もまた、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものといわなければならない。そして、報道機関の国政に関する取材行為は、国家秘密の探知という点で公務員の守秘義務と対立拮抗するものであり、時としては誘導・唆誘的性質を伴うものであるから、報道機関が取材の目的で公務員に対し秘密を漏示するようにそそのかしたからといつて、そのことだけで、直ちに当該行為の違法性が推定されるものと解するのは相当ではなく、報道機関が公務員に対し根気強く執拗に説得ないし要請を続けることは、それが真に報道の目的からでたものであり、その手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは、実質的に違法性を欠き正当な業務行為というべきである。

としています。


簡単にすると、憲法上保障された報道の自由を確保するためになくてはならない取材の自由は憲法上十分に尊重されなければならないものであり、取材がそそのかし的な性質を持っていたとしても、それが真に報道目的から出たもので、手段方法が社会観念上是認されるものであれば、違法性はなく正当な業務だと言えるという事です。


では、取材活動が違法性を帯びる場合はどのような場合か?

判例は、

報道機関といえども、取材に関し他人の権利・自由を不当に侵害することのできる特権を有するものでないことはいうまでもなく、取材の手段・方法が贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑罰法令に触れないものであつても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるものといわなければならない。

としています。

この判例は、取材活動がその自由を逸脱し、違法性を帯びる場合として、

一つはその活動が「刑罰法規に触れる場合」、もう一つは「刑罰法規に触れないにしても法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合」としてます。


今回の事件は、

同女を利用する必要がなくなるや、同女との右関係を消滅させてその後は同女を顧みなくなつたものであつて、取材対象者であるBの個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙したものといわざるをえず、このような被告人の取材行為は、その手段・方法において法秩序全体の精神に照らし社会観念上、到底是認することのできない不相当なものであるから、正当な取材活動の範囲を逸脱している


として、国家公務員法111条の罪を構成するとして有罪判決を受けております。


まぁ、女性を騙してその気にさせて情報を出させてるんですから、‘正当な取材活動'とは言えないですよねぇ。それにしてもよくこんな大それたことができたもんです。それほど切羽詰まっていたのか、それとも記者魂の表れなのか分かりませんが…


簡単に要約します。

憲法上取材の自由が‘尊重’されているとは言っても、取材が刑罰法規に触れる場合や触れなくても社会観念上是認できない態様であれば違法性を帯び、そそのかし行為であっても真に報道目的から出たもので、その手段方法が社会観念上是認することのできるものであれば正当な業務という事で違法性を帯びない。今回のAの行為は刑罰法規には触れないが、人格を著しく蹂躙し、社会観念上、到底是認することのできないものであり違法だ。


という感じです。




本日は以上となります。


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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 09:40| Comment(0) | TrackBack(0) | (憲法)人権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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