2013年09月01日

(憲法)パチンコ遊戯具通達課税事件



こんにちは。


本日2発目の更新となります。パチンコ通達課税についてです。


【事例】
旧物品税法においてパチンコ遊戯具は長年にわたり課税対象とされてこなかった。しかしながら、当時の国税庁長官は「パチンコ遊戯具は物品税法上の課税物権である‘遊戯具'にあたるので課税すべきである」という内容の通達を発しそれを根拠に課税処分が開始された。そこで、パチンコ台の製造業者Aは通達に基づく課税は租税法律主義を規定した憲法に反するとして課税処分の無効確認を求める訴えを提起した。


まず、この事例を解説するのに理解しておかなければならないことが3つほどあります。

1、物品税とは何?

2、通達って何?

3、租税法律主義って何?


です。


1、物品税について

特定の物品を対象として課税された国税でしたが、1989年の消費税導入に供なって廃止されました。旧物品税法は貴金属や車、毛皮、家具、時計など様々な物が課税対象として掲げられており、販売業者や製造業者に納税義務がありました。その中に課税対象として‘遊戯具'がありましたが、なぜかパチンコ遊戯具は対象外とされていました。


2、通達について

通達とは、行政機関内部において、上級機関が下級機関に対しその指揮監督関係に基づきその機関の所掌事務について示達するため発する一般的定めのことを言います。通達には様々な内容がありますが、その一つに法令の解釈があります。法律にはあいまいな部分が多分にあるので、行政が実際に法令の運用をするためにはそのあいまいな部分を明確にしなければなりません。そこで、法令の解釈内容を通達として下級行政機関に発するのです。
通達は、行政立法における行政規則と言われるものの一つで、あくまで行政機関の内部を規律するものであり、直接国民に対して義務を課したり、権利を制限するものではないので、法律の根拠なしに発することができます。故に行政事件訴訟法における「処分性」がないので取消訴訟で争うができません。
日本の行政において通達はきわめて広範かつ大量に発出されることから、行政実務上通達の果たす役割はとても大きいものがあります。また、通達は行政機関内部における指針に過ぎないとはいえ、行政機関がこれに沿って事務を行うことで、事実上新たに義務を課したり、規制を設けたのと同様な結果を招来することも少なくありません。これを「通達行政」と呼ぶことがあります。


3、租税法律主義について

日本国憲法においてはだ30条と84条で規定されており、租税を賦課・徴収する場合は、必ず国民の代表で構成される議会で定めた法律によらなければならないという原則を言います。

日本国憲法 第30条  
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

日本国憲法 第84条
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。



以上の3つを理解できたところで、本題に入ります。


この事件は、なぜかパチンコ台が長年課税されてこなかったことに問題があります。明らかに物品税法上の‘遊戯具’に当たりそうなものなのに当初から課税対象とされていなかったのです。そこで国税庁のトップは急に通達で課税しろと言ったわけです。


そりゃ〜パチンコ台の製造業者からすれば‘えっ何で??'ってなるのも分かりますが、結果はどなったのでしょうか。


判例は、この通達に基づく課税に関して何と判旨したかというと、

社会観念上普通に遊戯具とされているパチンコ球遊器が物品税法上の「遊戯具」のうちに含まれないと解することは困難であり…本件の課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであつても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基く処分と解するに妨げがなく、所論違憲の主張は、通達の内容が法の定めに合致しないことを前提とするものであつて、採用し得ない。


として原告は敗訴しました。


通達の内容が法の正しい解釈に合致していれば、通達課税は租税法律主義に反しない!ということです。


通達行政を拡大させたいお役所は‘ニヤッ'と笑ったのではないでしょうか?あま良い判例とは言えないような気がします。


通達一本で課税の内容が容易に変わってしまうことを許してしまうと、法的安定性や国民からすれば予見可能性を奪われてしまう危険があると思います。どういう場合に課税されどういう場合に課税されないのかが予め分かっていないと、国民は今回のように通達一本で予想外の被害を被ってしまうことになり、常に怯えながら経済活動をしなければならなくなってしまいます。


私などは、通達ではなくきっちりと法律を改正してから課税すべきものだったのではないかと思ってしまいますが、皆さんはいかがでしょうか?


ただ、パチンコ台に物品税がかけられていなかったのは明らかにおかしいと思いますので、結果的にこの通達課税は良かったと思いますが、それとこれとは話は別ですので…




お読みいただきありがとうございました。


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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 16:35| Comment(1) | TrackBack(0) | (憲法)統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
参考になりました
Posted by ・・・ at 2013年09月03日 11:59
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