2013年09月15日

(憲法)郵便法違憲訴訟



2020年、ついに東京にオリンピックがやってきますね♪♪

オリンピック招致活動にに携わってくれた方々にはとても感謝、感謝です♪♪

皇族の政治利用だなんだってごちゃごちゃ言う人がいますが、そんなの関係ない〜って感じで今から楽しみで仕方ありませんよ♪


それではウキウキ気分で本日もいきましょう!

郵便法違憲訴訟についてです。


【事案】
AはBに対する債権を回収するため、Bの有する預金債権について勝訴判決に基づき債権差押命令を申し立て、これに基づいて裁判所が銀行に差押命令正本を特別送達したところ、郵便局員が差押命令正本を銀行の私書箱に投函したため、送達が1日遅滞し、差押を察知したBが差押債権を回収(預金を引き出した)したので、Aが差押債権の券面額相当の損害を被ったとして、送達事務を行う国に対して国家賠償を請求した。しかし、国の責任を免除する郵便法の規定を理由に控訴審が棄却したため、これらの規定は憲法17条に違反するとして上告した。


郵便局がらみの紛争です。

暑い日も寒い日も毎日毎日、郵便局員さんは皆さんの手紙や荷物を配達しています(あの赤いバイクで…)ホントに御苦労さまという思いです。

ただ、取り扱う手紙や荷物たるや…それはもう膨大な量に及ぶため、時にはミスを犯してしまうこともあるでしょう。その度に損害賠償を請求されてしまっていては郵便料金が高額になってしまったり、迅速・円滑なサービスに支障が出てしまったりすることもあるでしょう。


という事で、郵便法旧68条においては次のように郵便局(国)の責任を制限する規定が置かれていました。

※この判例は平成14年のものであり、現在、郵便局は「日本郵便株式会社」として民間企業になっていますが、当時はまだ国の機関でした。


郵便法旧第68条第1項(損害賠償の範囲) 
郵政事業庁長官は、この法律又はこの法律に基づく総務省令の規定に従つて差し出された郵便物が次の各号のいずれかに該当する場合に限り、その損害を賠償する。
 一 書留とした郵便物の全部又は一部を亡失し、又はき損したとき。
 二 引換金を取り立てないで代金引換とした郵便物を交付したとき。
 三 小包郵便物(書留としたもの及び総務省令で定めるものを除く。次項において同じ。)の全部又は一部を亡失し、又はき損したとき。



そして、2項において、その賠償金額を制限する内容の規定が置かれていました。

さらに、郵便法旧73条においては、

郵便法旧第73条(損害賠償の請求権者) 
損害賠償の請求をすることができる者は、当該郵便物の差出人又はその承諾を得た受取人とする。

として、請求権者を制限していました。


68条で「次の各号のいずれかに該当する場合に限り」とありますが、これは、これ以外の場合は一切賠償しませんという意味です。

つまり、一般郵便は何があろうと一切責任を負いません、そして書留郵便については亡失、き損の場合でのみ限度額を上限として責任を負いますということになります。


ってことは、今回の事例のように遅配や誤配による損害はそれがたとえ郵便局員の故意や過失によるものであっても、一切賠償しなくてもよいということになりますね。


第一審、第二審は郵便法を理由にAの請求を棄却しました。しかしこれに不満を持ったAは最高裁に‘国の責任を制限した郵便法68条、73条は憲法第17条に違反する'として上告したのでした。


先に憲法第17条を見ておきましょう。

日本国憲法第17条  
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。


では、判例はこの事件について何と言ったのでしょうか?

憲法第17条について、

「憲法17条は、…その保障する国又は公共団体に対し損害賠償を求める権利については,法律による具体化を予定している。これは、国又は公共団体が公務員の行為による不法行為責任を負うことを原則とした上,公務員のどのような行為によりいかなる要件で損害賠償責任を負うかを立法府の政策判断にゆだねたものであって,立法府に無制限の裁量権を付与するといった法律に対する白紙委任を認めているものではない。そして,公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除し,又は制限する法律の規定が同条に適合するものとして是認されるものであるかどうかは,当該行為の態様,これによって侵害される法的利益の種類及び侵害の程度,免責又は責任制限の範囲及び程度等に応じ,当該規定の目的の正当性並びにその目的達成の手段として免責又は責任制限を認めることの合理性及び必要性を総合的に考慮して判断すべきである」

郵便法68条,73条の目的について、

「郵便の役務をなるべく安い料金で,あまねく,公平に提供することによって,公共の福祉を増進すること」を目的として制定されたものであり(法1条),法68条,73条が規定する免責又は責任制限もこの目的を達成するために設けられたものであると解される…仮に…民法や国家賠償法の定める原則に従って損害賠償をしなければならないとすれば,それによる金銭負担が多額となる可能性があるだけでなく、…多くの労力と費用を要することにもなるから,その結果,料金の値上げにつながり,上記目的の達成が害されるおそれがある。…したがって,上記目的の下に運営される郵便制度が極めて重要な社会基盤の一つであることを考慮すると,法68条,73条が郵便物に関する損害賠償の対象及び範囲に限定を加えた目的は,正当なものであるということができる。」

書留郵便について、郵便局員の故意または重過失による損害の場合にも国の責任を免除・制限している郵便法第68条は憲法違反ではないか?

「書留は…差出人がこれに対し特別の料金を負担するものである。そして,書留郵便物が適正かつ確実に配達されることに対する信頼は…書留郵便物の利用に関係を有する者にとっても法的に保護されるべき利益であるということができる。しかし,書留郵便物も大量であり,限られた人員と費用の制約の中で処理されなければならないものであるから,郵便業務従事者の軽過失による不法行為に基づく損害の発生は避けることのできない事柄である。限られた人員と費用の制約の中で日々大量の郵便物をなるべく安い料金で,あまねく,公平に処理しなければならないという郵便事業の特質は,書留郵便物についても異なるものではないから,法1条に定める目的を達成するため,郵便業務従事者の軽過失による不法行為に基づき損害が生じたにとどまる場合には,法68条,73条に基づき国の損害賠償責任を免除し,又は制限することは,やむを得ないものであり,憲法17条に違反するものではないということができる。しかしながら,上記のような記録をすることが定められている書留郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失による不法行為に基づき損害が生ずるようなことは,通常の職務規範に従って業務執行がされている限り,ごく例外的な場合にとどまるはずであって,このような事態は,書留の制度に対する信頼を著しく損なうものといわなければならない。そうすると,このような例外的な場合にまで国の損害賠償責任を免除し,又は制限しなければ法1条に定める目的を達成することができないとは到底考えられず,郵便業務従事者の故意又は重大な過失による不法行為についてまで免責又は責任制限を認める規定に合理性があるとは認め難い。
…以上によれば,法68条,73条の規定のうち,書留郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条が立法府に付与した裁量の範囲を逸脱したものであるといわざるを得ず,同条に違反し,無効であるというべきである。」


特別送達郵便について、郵便局員の故意、重過失はもちろんのこと、軽過失についても国の責任を免除・制限している部分は憲法に違反しないか?

※特別送達郵便とは、日本において、民事訴訟法に規定する方法により裁判所や公証役場から訴訟関係人などに送達すべき書類を送達し、その送達の事実を証明する、郵便の特殊取扱のことです。

「特別送達は,民訴法第1編第5章第3節に定める訴訟法上の送達の実施方法であり(民訴法99条),国民の権利を実現する手続の進行に不可欠なものであるから,特別送達郵便物については,適正な手順に従い確実に受送達者に送達されることが特に強く要請される…そして,特別送達郵便物は,書留郵便物全体のうちのごく一部にとどまることがうかがわれる上に,書留料金に加えた特別の料金が必要とされている。これら特別送達郵便物の特殊性に照らすと,法68条,73条に規定する免責又は責任制限を設けることの根拠である法1条に定める目的自体は前記のとおり正当であるが,特別送達郵便物については,郵便業務従事者の軽過失による不法行為から生じた損害の賠償責任を肯定したからといって,直ちに,その目的の達成が害されるということはできず,上記各条に規定する免責又は責任制限に合理性,必要性があるということは困難であり,そのような免責又は責任制限の規定を設けたことは,憲法17条が立法府に付与した裁量の範囲を逸脱したものであるといわなければならない。そうすると,法68条,73条の規定のうち,特別送達郵便物について,郵便業務従事者の軽過失による不法行為に基づき損害が生じた場合に,国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反し,無効であるというべきである」


判例の引用が長くなってしまいました。


郵便法第1条をあげておきます。

郵便法第1条 (この法律の目的)  
この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。


そう、郵便事業は低料金で、あまねく、公平に提供することを目的としていますので、事あるごとに損害賠償請求を喰らってしまうと、この目的を達成することができなくなってしまう可能性があります。

だから、国の責任を免除・制限する郵便法68条・73条の目的自体は正当なのですが、その内容が少し、憲法第17条に照らして不合理であるということなんです。

この判例は68条、73条の全てを違憲としたのではなく一部を違憲とした点で特徴があります。

つまり、郵便法68条、73条のうち、

書留郵便について、郵便局員の故意・重過失についても国の責任を免除・制限している部分

特別送達郵便について、郵便局員の故意・重過失はもちろん、軽過失についても責任を免除・制限している部分

が違憲だということになります。


この判決を受け、現在の郵便法では賠償に関しては次のように規定されています。

郵便法第50条 損害賠償の範囲
3項 会社は、郵便の業務に従事する者の故意又は重大な過失により、第一項各号に規定する郵便物その他この法律若しくはこの法律に基づく総務省令又は郵便約款の定めるところにより引受け及び配達の記録をする郵便物(次項において「記録郵便物」という。)に係る郵便の役務をその本旨に従つて提供せず、又は提供することができなかつたときは、これによつて生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、その損害の全部又は一部についてこの法律の他の規定により賠償を受けることができるときは、その全部又は一部については、この限りでない。
4項 記録郵便物に係る郵便の役務のうち特別送達の取扱いその他総務省令で定めるものに関する前項の規定の適用については、同項中「重大な過失」とあるのは、「過失」とする。



ちゃんと判例の内容が反映された内容になっていますね♪♪


本日は以上となります。


お読みいただきありがとうございました♪




また、明日から1週間の始まりです。頑張っていきましょう!


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行政書士試験に判例は欠かせない!重要判例集

posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | (憲法)人権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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