2013年11月23日

(民法)契約の成立〜申込みと承諾 その2



前回、意思表示についての一般原則をお話しいたしました。


民法第97条 隔地者に対する意思表示
1 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。



今回は、その一般原則についての重大な例外(特則)についてのお話となります。


条文を見てみましょう。

民法第525条 申込者の死亡又は行為能力の喪失
第97条第2項の規定は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。



契約の申込み」である意思表示については、


1、申込者が反対の意思を表示した場合

2、その相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合



には、97条第2項は適用されないとしているのです。


つまり、


1´、申込者が申込みの際に「この申込みは到達前に私が死亡したら効力を生じない」など、97条2項に反対の意思を表示し、到達前に死亡した場合

2´、申込みの相手方(申込み受領者)が申込みの到達前に、申込者の死亡を知った、または、行為能力の喪失を知った場合(※申込者の死亡を知った場合は、死者の申込みとして効力が生じず、行為能力の喪失に場合は、取消しうべき申込みとなります)


は申込みの効力は失われてしまいます。(制限される)



申込みは承諾と合致して初めて契約を成立させるものだから、申込みの相手方が申込者の死亡を知ったり、行為能力の喪失を知ったならば、もはや申込みの相手方は承諾の為の準備などをすることはないだろうという考えの下、こうした規定が設けられています。


しかしながら、上記の内容は申込み到達前に限っての話であって、申込みが一旦到達してしまうと適用されることはありません。


申込みが到達した後に、申込者が死亡しそれを知った場合、申込みが到達する前に申込者が死亡し、到達後にそれを知った場合等は申込みの効力は何ら影響を受けません。


では次に、契約が成立する時期について。


条文を見てみましょう。


民法第526条第1項 隔地者間の契約の成立時期
 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。



民法第526条第1項は、契約の成立時期について、意思表示の一般原則である「到達主義」ではなく、「発信主義」を採用しています。


つまり、契約は承諾が申込者に到達した時ではなく「承諾を発信したとき」に成立するとしているのです。これは到達主義の重大な例外です。



なぜ、発信主義にする必要があったのか?


承諾者は通常、発信と同時に契約上の履行の準備にとりかかることが普通であり、迅速性を求める現代社会において、契約の成立時期を早める方が、承諾者にとって、ひいては申込者にとって良いと考えられたからです。


契約の成立時期は「承諾を発信したとき」というのは明文にある通りで分かると思いますが、しかし、一見すると、相対立するような条文が「第1款 契約の成立」の中に存在します。


それが第521条第2項です。


民法第521条第2項 承諾の期間の定めのある申込み
 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。



一体、526条1項と521条2項の関係性はどうなるのでしょうか!?その整合性が問題となります。


ここについては次回とさせていただきたいと思います。


【番外編】


契約は「申込み」と「承諾」の合致で成立するとお話ししました。

しかし、これ以外にも例外的に契約が成立する場合が存在します。※民法に明文の規定はありませんが、認められているものです。


それは、「交叉(こうさ)申込」と言われるものです。


例えば、AがBに対して「この車を100万円で売りますよ」と申込みをし、その申込みがBに到達する前に、偶然、BがAに対して「その車を100万円で売ってください」と言ったような場合です。


この場合、承諾というのは特定の申込みに対してなされなければならないものであるので、Bの「売ってください」という意思表示は、「承諾」とはなりません。


このBの意思表示は「申込み」となります。となると、AとBが両者とも「申込み」を行ったこととなりますが、両者の意思表示の内容は一致しており、契約を締結しようという意思がありますから、この場合、明文の規定はないにしても契約が成立すると考えられています。


しかしながら、この契約の成立は「申込み」と「承諾」によるものではありませんから、Bの申込み(後の申込み)について発信主義の適用はなく、意思表示の一般原則に基づくこととなります。


つまり、契約の成立時期は、Bの申込み(後の申込み)を発したとき(発信主義)ではなく、Bの申込みがAに到達した時(到達主義)となります。





この分野は、条文数こそ少ないですが、なんだかとても込み入っていて、とても理解しづらい部分だと思います。しかし、時代遅れの条文もあったりするところなので、「ふ〜ん」くらいな感じでやっておけばいいかなと思います^^




本日もお読みいただきありがとうございました^^


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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 16:37| Comment(0) | TrackBack(0) | (民法)契約の成立 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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