2013年12月07日

(行政法)行政上の義務履行確保の手段 その2





行政代執行法という法律が存在します。


ではちょっと1条を見てみましょう。


行政代執行法第1条
行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。


この条文だけみると、行政上の義務履行確保全般に関する法律なのかと思われるかもしれませんが、実は条文数は第6条までしかなく、そこには「代執行」についての規定しか存在しません。

法律名が「行政代執行法」なのですから当然ですが、この法律は行政代執行における一般法だと言えることができそうです。



では、「代執行」とは何なのか?について第2条を見てみましょう。

行政代執行法第2条
法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。



この法律を根拠に強制執行をしようとする場合、様々な条件をクリアしなければならないようですね。


・法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた義務の不履行があること。

・さらに、その命ぜられた義務が、他人が代わって行うことができる義務であること(代替的作為義務といいます)

・そして、他の手段によつてはその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき。



上記の要件を満たせば、初めてその効果として、

行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。


となります。これが代執行というものです。


たとえば、建築基準法という法律の第9条には次のような規定が存在します。

建築基準法第9条第1項
特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主…(省略)…に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。



建築基準法第9条第12項
特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法 (昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。




建築基準法による違反建築物に対する除去命令の不履行に対する強制執行は行政代執行の典型的な例としてあげることができます。


行政代執行法を根拠に強制執行を行おうとする場合、命令等によって課された義務が「代替的作為義務」でなければなりません。(代替的とは他人が代わることができるという意味で、作為義務とは〜しなければならない義務ということを指します。)


上記の違反建築物を除去することは何も建築主だけが行えるものというわけではなく、建物を除去すること自体は「他の誰でも」行うことができますね。なので、違反建築物に対する除去命令により課された義務は代替的作為義務として、これに不履行があれば、行政代執行法を根拠に行政庁は、強制執行(代執行)を行うことができる…となります。


その他、土地収用法によって土地の明け渡しを命じ、義務を課したけれども(代替的作為義務)、義務を履行しようとしない場合などもこの行政代執行法を根拠にして強制執行を行うこととなります。



しかし、代替的作為義務の不履行についてはこの法律を根拠にして強制執行を行うことができることはお分かりかと思いますが、ではそれ以外の場合、たとえば、非代替的な作為義務不作為義務のような場合はどのように義務履行を確保していくことになるのでしょうか?



非代替的作為義務…たとえば、前回にも例として挙げた結核患者の入所命令(現在は入院勧告となっているようです)により課された義務などがあります。この場合、入所しろ!(作為義務…入所しなければならない義務を負う)と命ぜられたわけですが、その義務の履行は結核患者である当の本人にしかできないことです(非代替的)。代わりの人が施設に入所するなんてことは意味をなしませんね。

不作為義務…「〜をするな」という命令によって課された義務のことです。たとえば各種の営業の停止命令(営業をするな!)だとか、立ち入りの禁止(立ち入るな!)などがあります。この場合も代執行の対象とはなりません。


もう一度第1条を見てみましょう。

行政代執行法第1条
行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。



ここに「別に法律で定めるものを除いて」とあります。


この法律で義務履行の確保ができない場合は、第1条による「別に法律で定めるもの」で確保しようとすることになるのですが、たとえば、別に法律で定めるものとして、

・行政上の強制徴収(国税通則法、国税徴収法)
・直接強制(成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法など)
・執行罰(砂防法)

がありますが、行政代執行法でカバーできない義務履行確保を補えるかというと、まったく補えません。


行政上の強制徴収は金銭に関することですし、直接強制や執行罰は、個別法に存在はしますが、その数は限りなく少なく、機能しているとはいえない状況です。


そこで出てくるのが、このように直接的に義務の履行を確保しようということばかりではなく、間接的に義務の履行を確保することはできないのか?ということなのです。(執行罰は間接的強制手段です)


次回は、行政罰とその他の間接的強制制度についてとさせていただきます。




お読みいただきありがとうございました。


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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 13:44| Comment(0) | TrackBack(0) | (行政法)総論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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