2013年12月21日

(行政法)義務付けの訴え その2




義務付け訴訟は、条文上、2つの類型に分けることができます。


行政事件訴訟法第3条第6項
この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。


1 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
2 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。



1号は、法令に基づく申請等を前提としない義務付け訴訟として、「非申請型義務付け訴訟」とか「直接型義務付け訴訟」と呼ばれます。

2号は、法令に基づく申請等を前提として、その申請を満足させるための行政庁の応答を求める義務付け訴訟として、「申請型義務付け訴訟」と呼ばれます。


今回は、1号の非申請型義務付け訴訟についてお話させていただきます。


例えば、隣の家が明らかに建築基準法上の違法建築であって、とても危険な状態にあるにもかかわらず、行政庁が一向に、除去命令や改善命令などをしない…なんて場合は、この「非申請型義務付け訴訟」を提起することができるかと考えられます。


では、条文に沿って、具体的にその要件を見ていくことにします。


行政事件訴訟法第37条の2第1項
第3条第6項第1号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。



非申請型義務付け訴訟においては、その訴訟要件として、2つをあげることができます。


・一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり(重大な損害)

・その損害を避けるため他に適当な方法がないとき(補充性)



この2つの要件が揃って初めて、非申請型義務付け訴訟を提起することができることになります。


重大な損害があるかどうかの判断は、第2項がその解釈の指針を定めています。

行政事件訴訟法第37条の2第2項
裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。



補充性の要件については、裏を返して読むと、他に適当な方法があれば、義務付け訴訟は起こせないことになるわけですが、この「他に適当な方法」というものを広く解してしまうと、義務付け訴訟の活用が狭められてしまいます。なので、この「他に適当な方法」とは、通常の民事訴訟などは含まず、特に法律によって定められている救済手続きに限定するべきだと言われています。


原告適格については以下の規定があります。


行政事件訴訟法第37条の2第3項
第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。


行政事件訴訟法第37条の2第4項
前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。

行政事件訴訟法第9条 原告適格
1 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。



原告適格については、またいつか記事にしようと思っていますので、詳しく触れることはしませんが、「法律上の利益を有する者」に限り、提起することができることとされています。

この「法律上の利益を有する者」とは、「法律上保護された者」を意味するのであって(法律上保護された利益説)、処分がされることによって、「反射的に利益を受ける者」にすぎない場合は、該当しません。

先の例で見ると、建築基準法上の違法建築物によって危険を感じている者は、建築基準法上、その利益を保護されていると考えることができ、除去されることによって得られる利益は単なる反射的利益ではないので、「法律上の利益を有する者」と言えるのではないかと考えられます。



では、訴訟要件が整えば、本案審理に入るわけですが、本案で勝訴するためにはどのような要件が必要になるのでしょうか?


行政事件訴訟法第37条の2第5項
義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。



条文上、その要件としては2つが規定されています。

・行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らか(裁量の余地なし)

・行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となる(裁量権の逸脱・濫用)



この要件のどちらかに該当すると判断すれば、本案に勝訴し、行政庁に対して処分の命令が下されるということになります。

どのような処分内容が判決で下されるのかについては、またいろいろ問題がありますが、ここはおそらく行政書士試験の範囲を超えるものと思われますので、省略させていただきます。




本日もお読みいただきありがとうございました。


次回は、「申請型義務付け訴訟」についてとさせていただきます。


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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | (行政事件訴訟法) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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