2013年12月28日

(行政法)義務付けの訴え その3




申請型義務付け訴訟(行政事件訴訟法第3条第6項第2号)の訴訟要件として、行政事件訴訟法第37条の3第1項.1号2号は、以下の2つを定めています。


行政事件訴訟法第37条の3第1項
第3条第6項第2号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
1 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
2 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。



1つ目は、

法令に基づく申請、審査請求をしたが、相当期間内に何らの処分、裁決がない場合⇒【不作為型】と言います。

2つ目は、

法令に基づく申請、審査請求に対して、却下や棄却処分(拒否処分)があった場合で、それが、取り消されるべきもの、無効、不存在である場合⇒【拒否処分型】と言います。


上記のように申請型義務付け訴訟は「不作為型」と「拒否処分型」の2タイプに分かれるわけです。



そしてさらに、行政事件訴訟法第37条の3第3項においては、その訴訟要件として、併合提起について規定されています。

行政事件訴訟法第37条の3第3項
第1項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第38条第1項において準用する第12条の規定にかかわらず、その定めに従う。
1 第1項第1号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
2 第1項第2号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え



つまり、


不作為型の申請型義務付け訴訟を提起する場合は、「不作為の違法確認の訴え


拒否処分型の申請型義務付け訴訟を提起する場合は、「取消訴訟又は無効等確認の訴え


一緒に提起しなければならないとされています。


併合提起しないで、申請型義務付け訴訟のみを提起しようとしても、訴訟要件を欠き、訴えは不適法だとして却下されてしまうことになります。



申請型義務付け訴訟の例として一つあげてみます。


【事例】
保護者Aは、その子(障害児)Bを市立保育園へ入園させようとして、市へ入園の申し込みを行ったが、市の福祉事務所長が児童福祉法第24条第1項の「やむを得ない事由」があるとして、不承諾処分を行った。

児童福祉法第24条
市町村は…省略…保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。ただし、保育に対する需要の増大、児童の数の減少等やむを得ない事由があるときは、家庭的保育事業による保育を行うことその他の適切な保護をしなければならない。




この事例では、入園申し込みに対して、市が不承諾処分を行っているところから、法令に基づく申請に対する「拒否処分」があったということで、これに不満があり、争うとなれば、上記の「拒否処分型の申請型義務付け訴訟」を提起することができると考えられます。


拒否処分型の申請型義務付け訴訟ですから、単独では提起できず、この場合、取消訴訟か無効等確認訴訟を併合提起しなければならないということになります。※併合提起された訴訟と申請型義務付け訴訟は、一緒に審理されます(行政事件訴訟法第37条の3第4項)


裁判所としては、次に見る本案勝訴のための要件を検討し、取消訴訟や無効等確認訴訟での当該市の不承諾処分の適否、そして、義務付けの判決を下すかどうかを判断することとなります。



行政事件訴訟法第37条の3第5項
5 義務付けの訴えが第1項から第3項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。




本案に勝訴するための要件(裁判所が一定の処分等を命じるための要件)は、行政事件訴訟法第37条の3第5項から2つに分けられます。


・併合提起された訴えに係る請求に理由があると認められること

・行政庁がその処分、裁決をすべきであることが根拠法令上、明らかであると認められるとき(裁量の余地なし)

又は

・行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の逸脱、濫用となると認められるとき(裁量権の逸脱濫用)




この2つの要件が揃えば、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をすることになります。



義務付け訴訟は、平成16年の改正で明文で登場したものの、今も、私人の権利を救済するためのその他の抗告訴訟(取消訴訟、無効等確認訴訟、不作為による違法確認訴訟)の補充的な意味合いを有しています。



しかし、同時に、処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があるような場合は、「仮の義務付け」を命じることができる場合など、平成16年の改正は、行政庁の不作為に対して、私人への権利救済の道を大きく広げたということができるのではないでしょうか。


行政事件訴訟法第37条の5第1項  仮の義務付け及び仮の差止め
義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。





本日もお読みいただきありがとうございました^^


法律は初めて!という方へ、法律の入門書



ほんの少しでも「なるほど〜」と思われた方は、ポチッ!と応援クリックよろしくお願いいたします。
↓↓↓↓↓









posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 20:13| Comment(0) | TrackBack(0) | (行政事件訴訟法) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

▲ページの先頭へ