2014年01月26日

(行政法)法律による行政の原理 その3





さて、法律による行政の原理は…「様々な行政活動は、法律の定めるところにより、法律に従って行わなければならない」という法原則…だったわけですが、


果たしてこの原則…多種多様な行政活動の全てに徹底されているのでしょうか?また、徹底すべきものなのでしょうか?



行政が行う活動には、実に様々なものが存在しています。例えば、租税の賦課、警察官による検問、道路の建設、土地の収用、水道水の供給、生活保護の給付、各種営業許可、免許証の発行、学校教育、自衛隊の武器購入、政党への助成、交番でお巡りさんが行う道案内、市役所の窓口でのクレーム対応…等々書き出したらきりがありませんが、とにかく想像を絶する程の種類と量なわけです。



これらの活動全てにおいて、法律による行政の原理を徹底すること(つまり、こういう場合にはこうする…ということを法律で事細かに細部に至るまで決めておくこと)は現実問題としてまず不可能です。


また、この法律による行政の原理の徹底により完璧な民主的コントロールを及ぼすことができ、これこそ理想だと思われるかもしれませんが、実はそうとは言えないのです。


行政書士試験に判例は欠かせない!重要判例集



以下の法律を基にして少し考えてみます。


警察官職務執行法第7条第1項 武器の使用  
警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。




この法律は警察官の行為の根拠となる法律ですが、第7条第1項は、警察官が拳銃や警棒を使用することができる場合を定めた条文です。しかし、よく見るとかなり抽象的な定め方になっているのがお分かりかと思います。


「必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において」とありますが、この必要性の判断をするのは現場の警察官です。



なんでこのような定め方になっているのかというと、



仮に、法律による行政の原理を徹底してしまうと、例えば、犯人が逃走した場合は、とりあえずまず空砲を一発とか、それでもなお逃げる場合は足に一発とか、犯人が男の場合は2発までOKとか、子供・女性の場合は、拳銃使用不可とか、まぁそんな細かいことまで法律にいちいち規定することになるわけですが、そんなことをしていては、法律の量が膨大になる上、現場の警察官の行動を著しく制限することになり、犯人を取り逃がしてしまうことになりかねないわけです。


犯人を逮捕するためには、現場の警察官の経験と勘を活かしたその場その場の判断が大変重要になってくるものです。法律で警察官の手足をがんじがらめに縛ってしまいその経験と勘を奪ってしまうことは、逆に犯人を取り逃してしまう結果となり、それはひいては国民全体の利益(公共の福祉)のためにならないからなのです。



このように法律による行政の原理を徹底してしまうと、上記のような弊害がでてきてしまうことになります。



ただ、法律による行政の原理は、行政活動に民主的なコントロールを及ぼすことによって、私人の自由や権利を保護しようとする狙いがあるわけですから、これを無くすなんてことは当然あり得ないわけです。



そこで、法律による行政の原理には「例外(限界)」が存在すべきであり、ここで、この例外として「行政の自由裁量」というものが登場することとなります。



まさに、警察官の武器の使用の判断は、法律による行政の原理の例外として、現場の警察官に委ねられた自由裁量だということができます。

※余談ですが、マスコミは警察官が拳銃一発を発射しただけで、いちいちニュースに取り上げますが、これは警察官の拳銃使用の判断(裁量)を委縮させるものとしていかがなものかと個人的に思います。




このように法律の規定が細かく定められず、抽象的・包括的であり、行政の判断に授権していると考えられるような場合、その規定の下で行われる専門的・政策的な行政活動を「自由裁量行為」と言います。(法律は行政に対して裁量権を与えている)



また、これとは逆に、法律の規定が、行政に対して、専門的・政策的な判断の余地を与えずに厳格に定められているような場合を「法律は行政を羈束している」と言い、その下で行われる行政活動を「羈束行為」と言います。



今回は、法律による行政の原理の例外として、行政の自由裁量行為についてのお話でした。




本日もお読みいただきありがとございました。


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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | (行政法)総論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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