2014年05月26日

(憲法)人権の制約原理 その3




前回の一元的外在制約説は、「公共の福祉を人権とは無関係の概念であると考え、人権制約をその無関係なところ(外在)から人権の種類などは関係なく行う」という発想でした。


しかし、これは、明治憲法下の法律の留保と変わりなく、その気になれば如何様にでも人権を制約することができるというもので、今日の個人の尊厳・尊重という憲法の精神に相容れないものであったわけでした。



では、次に登場した考え方をご紹介します。



・内在外在二元的制約説



今度は、公共の福祉というものを、外在という考え方だけではなく「内在」という考え方も持ち出して制約の根拠としてみようという発想です。


具体的には、人権制約ができる場合として、「人権相互の矛盾や衝突を調整するために行う場合」と「経済政策や福祉政策といった国家の積極的な政策目的を達成するために行う場合」の2種類があって、前者を内在的制約、後者を外在的制約とし、憲法に公共の福祉について明文規定のある経済的自由権(第22条・第29条)国家の積極的施策によって実現される社会権については、外在的制約に服するのに対して、それ以外の自由権については、内在的制約に服するにとどまるというものです。



そして、この説は、憲法第12条と第13条の規定を訓示的・倫理的規定であると解して、13条の「公共の福祉」は人権制約の根拠とはならない…としています。




ちょっと難しいですが、簡単にまとめます。


・経済的自由権(第22条・第29条)と社会権は外在的制約に服する。

・それ以外の自由権は、内在的制約に服する。

・12条と13条は訓示的・倫理的規定。

・13条の「公共の福祉」は人権制約の根拠とはならない。



ここは、まぁこういうのがあるんだな〜程度で覚えておけば問題ないかと思います。ただこの説に対する有名な批判が一つあるので紹介しておきます。



13条を訓示的・倫理的規定と解してしまうと、今日重要性が増しているいわゆる新しい人権(プライバシー権・名誉権etc)を根拠づける包括的な人権規定と解釈できなくなり、不都合が生じることになる



確かにそうですね。第13条の幸福追求権が具体的な権利規定であるからこそ、そこから新しい人権が根拠づけられるわけであって、単なる訓示的・倫理的規定であれば、それが難しくなるのは道理というものでよね。




では、次に今日の通説的見解である「一元的内在制約説」について考えていきたいと思います。



・一元的内在制約説



この説は、「公共の福祉」のことをこのように言っています…「人権相互の矛盾や衝突を調整するための実質的な公平の原理」であると。


そしてこれは、「全ての人権に論理必然的に内在している」のであると…



先の内在外在二元的制約説でも少し出てきましたが、一体これはどういうことなのでしょうか。



前々回の例を出して少し考えてみます。



Aさんが、「私には表現の自由が憲法によって認められている!だから、人のたくさんいる公園で、Bさんの悪口(例えば前科とか)を言いふらす権利があるんだ!」と言って、手当たりしだいBさんの悪口を言いふらしていたとします。


確かにAさんには憲法上表現の自由が認められているので、どこで何を言おうが自由なはずですよね。でもこの場合、Aさんの表現行為によってBさんは知られたくもないことを他人に知られることによってその名誉を侵害されているわけです。Bさんからしたらたまったものではありませんよね。


ここに、人権相互の矛盾衝突が発生しています。Aさんの表現の自由 VS Bさんの名誉権…というわけです。



現在、Aさんの行為は刑法によって侮辱罪や名誉棄損罪によって規制をかけられています。



これは、この説による「公共の福祉」を使って解決を図ったものと考えられます。



つまり簡単に言うと、AとBの人権が対立している⇒この説の公共の福祉は、Bの人権の保護を優先した⇒だから、Aの人権は制約を受けた。


これをさらに簡単にすると、「Aの人権はBという他人の人権によって制約を受けた」…とすることができます。



これこそが、まさにこの説の言っていることで、一元的外在制約説は人権制約の根拠を「人権とは無関係なところ」とするものであったのに対し、


一元的内在制約説は、人権制約の根拠を「人権(他の人権)」とするところに特徴があります。そしてここでいう「公共の福祉」の概念は、憲法の規定にかかわらず、全ての人権に内在している(備わっている)と考えているのです。



「公共の福祉」について理解は深まりましたでしょうか。次回は少し過去問に触れてみようかと思います。












お読みいただきありがとうございました。


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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 03:01| Comment(0) | TrackBack(0) | (憲法)人権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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