2014年06月04日

(憲法)パターナリスティックな制約〜過去問/平成20年/問3





前回、公共の福祉の一元的内在制約説では、人権制約の根拠は、「他者の人権である」ということを説明しました。


しかし、人権制約の根拠はこの他にも存在します。



それが今回の「パターナリスティックな制約」というものです。


パターナリズムとは何でしょうか?少し辞書を引いてみましょう。


パターナリズムとは…雇用関係など社会的な関係において成立している,父と子の間のような保護・支配の関係。父親的温情主義。 (Weblio辞書)


このように書かれてます。強者と弱者、保護する側とされる側、このような間柄のことを指していますね。


なので、パターナリスティックな制約とは、

例えば、父親が子供に対して「テレビゲームは目に悪いから、一日1時間まで!」などの言いつけをするように、強者があたかも父親のように、弱者に対して、弱者の自己加害防止を目的として、弱者の自由な意思決定を制限すること、とでも表現できるでしょうか。



簡単にいえば、「おせっかい」だということですね。


国が、あらゆる面で脆弱な国民に対して、まるで親のようにおせっかいを焼くことによって(自己決定権の制約)、国民の自己加害を防止してやろうという発想です。
(例えば、覚醒剤を使用する者に対しては、罰則が設けられていますが、これは覚醒剤を使用することにより、自己の心身が薬によって侵され、最終的には死に至ってしまうこともありうるという自己加害を防止するということを根拠に定められた制約だと言えます。※尚、覚醒剤の規制は、パターナリスティックな制約以外にも、覚醒剤を使用し、錯乱状態に陥ることにより、他者への危害の可能性もあるところから、公共の福祉の一元的内在制約説を根拠にしているとも考えられます。)



一元的内在制約説では、人権制約の根拠が「他者の人権侵害防止」だったのに対し、パターナリスティックな制約では、その根拠が「自己加害の防止」となります。



では、ある程度パターナリスティックな制約のことを理解したところで、平成20年問3の問題を見てみましょう。



【問題】


次の文章は、参議院内閣委員会で食育基本法案が議論された折のある議員の発言を、その趣旨を変更しないようにして要約したものである。この発言の趣旨と明白に対立する見解はどれか。

 「更にちょっと深く議論を進めたいんですけれども、(法案の)13条に国民の責務という条文がございます。これについては先ほどの議論の中で努力規定という表現が提案者の方から聞かれましたけれども、しかしやはり国民の責務ときっちりうたっているわけでございます。」
  「この健全な食生活に努めるという責務、これをなぜ国民は負わなければいけないんだろう。」「裏を返すと、不健康でもそれは自己責任じゃないかという、こういう議論もまたあるわけです。」
  「そして、やはり自分が自分の健康を害することに対して何らかの制約を課す、これは法律用語でいいますと」、「自己加害の防止」であり、「これパターナリスティックな制約といいます。」「で、自己加害に対して国家が公権力として介入するのは原則許されないわけですね、これは法律論として。」
  しかし、「未成年の人格的自立の助長や促進というものに関しては、限定的だけれどもこのパターナリスティックな制約は認められるであろうという、これが一つの法律の議論なんです。」
(出典 参議院内閣委員会会議録平成17年5月19日)


1. 文明社会の成員に対し、彼の意志に反し、正当に権力を行使しうるのは、他人に対する危害の防止を目的とする場合である。

2. 日本国憲法がよって立つところの個人の尊重という思想は、相互の人格が尊重され、不当な干渉から自我が保護されることによってはじめて確実なものとなる。

3. 人の人生設計全般にわたる包括的ないし設計的な自律権の立場から、人の生と死についてのそのときどきの不可逆的な決定について、例外的に制約することは認められる。

4. その人間がどういう将来を選びたいと考えるかよりも、その人間がどういう将来性を有しているかという観点を優先するのは、憲法の「個人の尊重」原理の要請である。

5. 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。



ちょっと一風変わった出題形式ですよね。


見慣れない出題形式なので少し戸惑われた方も多かったのではないでしょうか。しかし、こういう一風変わった問題って意外と簡単だったりするもんなんです。実際、この問題はパターナリスティックな制約というものを知らなくても何とか国語力のみで解くことはできなくもないです。



少し考えてみてください…詳しい解説は次回にさせていただきます。



今回もお読みいただきありがとうございました。












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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 02:19| Comment(0) | TrackBack(0) | (憲法)人権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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