2014年07月19日

(憲法)実質的意味の憲法〜過去問/平成21年/問3〜解説




この問題は、仲間外れを一つ探し出すというパターンの問題ですが、実質的意味の憲法には、固有の意味の憲法近代的(立憲的)意味の憲法の二つがあるということを知っていないと少し厳しい問題なのかなという感じがします。



では、肢1について、


1. 権利の保障が確保されず、権力の分立がなされていない社会は、憲法をもっているとはいえない。



これは、フランス人権宣言第16条の文言そのままですね。仮にこのことを知らなくても、内容的には近代的(立憲的)意味の憲法そのままですので、簡単に判断がつくかと思います。


近代的(立憲的)意味の憲法




肢2について、


2. 固有の意味での憲法を論ずるには、古代憲法、中世憲法、近代憲法、現代憲法の順で、社会の基本構造を歴史的に叙述する必要がある。



まず、冒頭の部分で、「固有の意味での憲法を論ずるには、」とありますので、ここから、固有の意味の憲法についての記述だと大方予想ができます。



内容的には少し難しいです。なぜかというと、固有の意味の憲法も近代的(立憲的)意味の憲法(立憲主義)も古代から供に存在していたからです。なので、「古代憲法、中世憲法、近代憲法、現代憲法の順で、社会の基本構造を歴史的に叙述する必要がある。」という記述だけでは判断はできず、冒頭の部分で判断することになります。


固有の意味の憲法




肢3について、


3. 日本の憲法の歴史は、大日本帝国憲法の制定につながる、西洋諸国に対する「開国」を出発点として、叙述されなくてはならない。


この肢は、日本の憲法の歴史についての問題です。



「大日本帝国憲法の制定につながる、西洋諸国に対する「開国」を出発点として」という記述から、固有の意味の憲法ではないと判断することができます。なぜなら固有の意味の憲法は国家である以上はどの時代においても存在するものだからです。


となると近代的(立憲的)意味の憲法についての記述だということになるのですが、大日本帝国憲法(明治憲法)も実は立憲主義の要素を取り入れた憲法だったのです。しかしながら、現在の日本国憲法が近代自然権思想に基づく前国家的な基本的人権を保障しているのに対して、大日本帝国憲法(明治憲法)では、人権は、「臣民の権利」として、「法律の範囲内において」でしか認められず、国家があって初めて生まれるもので、国家によって与えられるものであるという考えに立脚していました。これを外見的立憲主義といいます。


日本における立憲主義は不十分ながらも大日本帝国憲法からスタートしていると言われているので、この肢は、近代的(立憲的)意味の憲法についての記述だということができます。


近代的(立憲的)意味の憲法




肢4について、


4. 近代立憲主義が定着したフランス第三共和制においては、その体制の基本を定める法律を「憲法的」と形容して、憲法的法律と呼んでいた。



この肢も冒頭の「近代立憲主義が定着した」という記述から、近代的(立憲的)意味の憲法についての記述だと予想できます。


内容は、憲法典を持たず、国家統治に関するルールを定める法律が、憲法を構成していたという内容で、それが「憲法的法律」と呼ばれていたというものです。


しかし、この肢は、固有の意味の憲法についての記述と判断できなくもないのかなという感じです。


固有の意味の憲法とは、国家における統治機構や統治組織などの基本的な決まりごとのことですが、それに少し近い内容でもあります。


少し判断に迷う肢ですが、肢2が明らかに固有の意味の憲法を指しているので、この肢は、近代的(立憲的)意味の憲法についての記述だということにしておきましょう。


近代的(立憲的)意味の憲法




肢5について、

5. 絶対君主制とは区別された意味での立憲君主制が、19世紀ヨーロッパの憲法体制では広く普及し、明治時代の日本もこれにならった。


1789年のフランス革命等の市民革命を経て、立憲主義はその後、ヨーロッパに広く普及しました。明治時代の日本もドイツのプロイセン憲法を模して、外見的ではありますが、立憲主義を採用していました。


明らかに近代的(立憲的)意味の憲法についての記述ですね。


近代的(立憲的)意味の憲法




ということで、仲間はずれは肢2ということになります。












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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | (憲法)総論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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