2014年08月03日

(民法)詐欺取消しと強迫取消し その2





まず、民法第96条の規定を確認しておきましょう。

民法第96条 詐欺又は強迫 
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。




前回、錯誤のように、表示に対応する意思が存在しない意思表示は無効となるということを説明しました。(意思の欠缺



しかし、詐欺や強迫による意思表示というのは、表示に対応する意思は一応存在しているわけです。ただ、その意思を形成する過程に少々問題があるというだけの話です。(瑕疵ある意思表示



そこで、民法は、表示に対応する意思は一応あるわけで、少々そこに他人の干渉が入っただけなんだから、いきなり無効だとはせずに、有効にするのか無効にするのかの選択権を表意者に与えようということで、その意思表示を「取消す」ことができるんだとしました。


取消権を行使すれば、遡って無効にできるし、取消権を行使しなければ、そのまま有効にできるんだということです。




ここまでは、詐欺と強迫の場合で共通ですが、この先の話は詐欺と強迫の場合で少々違ってきます。



民法第96条の2項と3項は、詐欺取消しの制限についての規定です。



2項は、いわゆる第三者詐欺と言われるもので、相手方ではなく第三者が詐欺を行った場合でも取消権を行使することはできますが、それは相手方が悪意だった場合に限るというものです。


第三者強迫についての規定はありませんが、この点、2項の反対解釈として、第三者の強迫により意思表示を行った場合は、相手方が善意であろうが悪意であろうが取消すことができるとされています。



3項は、例えば、Bの詐欺行為により、不動産をBに売却したAが、その売買契約の詐欺取消しを行う前に、既にBがその詐欺行為を全く知らないCに対してその不動産を売却してしまっていたというような場合の話です。


この規定がなければ、Aの取消権の行使により、AB間の売買契約は遡って無効となることから、BC間の売買契約も無効となり、Cは不動産を取得することはできないことになりますが、この規定があることにより、Aは取消権を行使しても善意であるCに対して取消しを主張することはできません。つまり、Cは不動産を取得することができるんだということになります。


しかし、やはりこれも詐欺についての規定であって、強迫については、反対解釈により、第三者が善意であろうが悪意であろうが、取消しを主張することができるとされています。




ここで、疑問が少し湧いてきます。それは、なぜ詐欺と強迫でこのような違いが出てくるのか、ということです。



騙された人とおどされた人…どちらもかわいそうじゃないかと思われることと思います。しかし、民法はこの両者に差を設けているわけです。



この点、民法は、おどされた人ってのは全面的にかわいそうな存在であって、特におどされることに非があるわけではない、だから保護の要請が厚いんだと考えます。



しかし、騙される人というのは、確かにかわいそうな面はあるけども、腹のうちでは黒いことを考えていたりするものなんです。(例えば、うまい投資話があるからと言われて、まんまと騙される人を想像してみてください。このような人は、自らの私腹を肥やすことに頭がいっぱいです)



だから、その分、おどされた人に比べて保護の要請が薄いんだと民法は考えるわけです。



この差が、2項と3項に表れているんだと考えることができます。



詐欺された人は強迫された人より保護の要請が低いんだから、取消権に制限を加えてやってもいいじゃないか、ということです。



あまりこのような内容は基本書やテキストには載っていませんが、このような裏の部分を知ったり、考えたりすることが、法律を勉強する面白味でもあって、実は、合格に向けた近道なのかなと思います。なぜなら条文だけを機械的に暗記するのではなく、こういう裏の部分を知ったり、理解しておけば、記憶に定着しやすく、なかなか忘れませんから。












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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 01:14| Comment(0) | TrackBack(0) | (民法)詐欺・強迫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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