2014年08月22日

(憲法)「君が代」の伴奏と起立斉唱の拒否 その2




◆「君が代」の起立斉唱拒否事件(最判平23年5月30日)



【事案】


公立高校の教諭Aは、「卒業式では、国旗に向かって起立し、国家を斉唱すること」という校長の職務命令に従わず、それを理由に定年後の非常勤職員の選考で不合格と判定されたため、当該校長の職務命令は憲法19条に違反しているとし、訴えを起こした。



似たような事件は他にもたくさんありますが、今回は比較的新しい事件を取り上げてみます。



果たして最高裁は何といったのでしょうか。



【判旨】

「起立斉唱行為は,教員が日常担当する教科等や日常従事する事務の内容それ自体には含まれないものであって,一般的,客観的に見ても,国旗及び国歌に対する敬意の表明の要素を含む行為であるということができる。そうすると,自らの歴史観ないし世界観との関係で否定的な評価の対象となる「日の丸」や「君が代」に対して敬意を表明することには応じ難いと考える者が,これらに対する敬意の表明の要素を含む行為を求められることは,その行為が個人の歴史観ないし世界観に反する特定の思想の表明に係る行為そのものではないとはいえ,個人の歴史観ないし世界観に由来する行動(敬意の表明の拒否)と異なる外部的行為(敬意の表明の要素を含む行為)を求められることとなり,その限りにおいて,その者の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があることは否定し難い。」

「このような間接的な制約について検討するに,個人の歴史観ないし世界観には多種多様なものがあり得るのであり,それが内心にとどまらず,それに由来する行動の実行又は拒否という外部的行動として現れ,当該外部的行動が社会一般の規範等と抵触する場面において制限を受けることがあるところ,その制限が必要かつ合理的なものである場合には,その制限を介して生ずる上記の間接的な制約も許容され得るものというべきである。そして,職務命令においてある行為を求められることが,個人の歴史観ないし世界観に由来する行動と異なる外部的行為を求められることとなり,その限りにおいて,当該職務命令が個人の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があると判断される場合にも,職務命令の目的及び内容には種々のものが想定され,また,上記の制限を介して生ずる制約の態様等も,職務命令の対象となる行為の内容及び性質並びにこれが個人の内心に及ぼす影響その他の諸事情に応じて様々であるといえる。したがって,このような間接的な制約が許容されるか否かは,職務命令の目的及び内容並びに上記の制限を介して生ずる制約の態様等を総合的に較量して,当該職務命令に上記の制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められるか否かという観点から判断するのが相当である。」

「本件職務命令については,前記のように外部的行動の制限を介して上告人の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面はあるものの,職務命令の目的及び内容並びに上記の制限を介して生ずる制約の態様等を総合的に較量すれば,上記の制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められるものというべきである。」

「本件職務命令は,上告人の思想及び良心の自由を侵すものとして憲法19条に違反するとはいえないと解するのが相当である。」




結論においては、「君が代」ピアノ伴奏拒否事件のと同じで、憲法19条に違反しないとするものですが、内容は一歩踏み込んだものとなっています。



それは、国旗に向かって起立し国歌斉唱を行う行為(個人の歴史観ないし世界観に由来する行動と異なる外部的行為)が、その者の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があるということを認めたことです。



これが、君が代の伴奏と起立斉唱行為との違いからくるものなのかどうかは定かではありませんが、内容的にはほんの少し教諭側に傾いたものとなっています。



そして、結論は同じですが、「このような間接的な制約が許容されるか否かは,職務命令の目的及び内容並びに上記の制限を介して生ずる制約の態様等を総合的に較量して,当該職務命令に上記の制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められるか否かという観点から判断するのが相当である。」として、判断基準を指し示しています。



その結果、「本件職務命令については,前記のように外部的行動の制限を介して上告人の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面はあるものの,職務命令の目的及び内容並びに上記の制限を介して生ずる制約の態様等を総合的に較量すれば,上記の制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められるものというべきである。」として、当該職務命令の合憲を導いています。



判決文を詳しく見たい方はこちら⇒最高裁判例を知ろう!












本日もお読みいただきありがとうございました。



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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | (憲法)人権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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