2014年08月26日

(民法)公示の原則と公信の原則 その2





物権取引の安全を確保するために、物権変動には公示方法による「公示」が必要とのことでした。



では、この公示により、どのように物権取引の安全が確保されるのでしょうか。




考え方は二つあります。



その1



まずは、177条と178条を見てみます。



民法第177条 不動産に関する物権の変動の対抗要件
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。



民法第178条 動産に関する物権の譲渡の対抗要件
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。




これは、動産と不動産の物権変動の対抗要件について定めた規定です。



不動産の場合は「登記」、動産の場合は「引渡し」が第三者対抗要件とされています。



これはつまり、日本では意思主義(cf,形式主義)の下、当事者間での物権変動は有効に成立するけれども、それはまだ中途半端な物権変動であって、その有効を完全なものとしたいのであれば、登記や引渡しのような第三者対抗要件を備える必要があるんだ。ということを意味しています。



典型的な例ですが、


Aがその所有する土地をBに売却し、まだ移転登記が行われないうちに、AがさらにCに対してもその土地を売却し登記を備えてしまったという場合、いくらBは「先に買ったのはオレなんだから、土地はオレの物だ」と叫んでも、Bは登記を備えていない以上、第三者であるCに対して、その物権変動を対抗することはできません。


結局その土地は、先に第三者対抗要件を備えたCのもので確定してしまうわけです。



このように、登記や引渡しのような公示方法による公示には上記の例にあるような効力が存在します。これを「公示力」といいます。



そして、公示にこのような力を与えておけば、上記の例では、Cが所有者であるということが確定するわけですから、CとBの無用な争いを避けることができます。(公示力がなければ、CとBの間で所有権をめぐって争いが生じてしまいます)



公示は物権取引の安全を確保するためにとても重要な役割を担っているわけですね。これをひっくるめて「公示の原則」と呼びます。177条と178条はこの公示の原則を採用しているんですね。




その2



【事例】

Aは友人BからBが保有しているパソコンを一台購入した。しかしながら、そのパソコンはBがCから預かっていたものだった。購入時Aはそのような事情を全く知らず、完全にBの所有だと信じていた。この場合、Aはパソコンを取得することができるのか。




これまた、有名な事例ですが、物権取引の安全を確保するという点からどのような結論が妥当でしょうか。




民法第192条 即時取得
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。




民法192条は、公示(引渡し)を信頼して取引行為を行った者は、その公示に対する実質的な権利が伴っていなかったとしても、その公示に対する信頼は保護するに値するので、その権利を取得させてあげよう。ということを言っています。




中身が伴っていない空の公示でも、それを信頼したならば権利を取得することができるわけですね。この場合の公示の有する効力を「公信力」と言います。




この公示の持つ公信力によって、Aは物権変動を無効とされることなく、パソコンの所有権を取得することができます。



この公信力も物権取引の安全を確保するための重要な存在ですね。これをひっくるめて「公信の原則」と呼びます。192条はこの公信の原則を表しているんですね。



※不動産には公信の原則は認められていません。したがって、不実の登記を信頼して取引を行った者は保護されないということになります。












本日もお読みいただきありがとうございました。



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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | (民法)公示と公信の原則 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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