2014年09月12日

(民法)未成年者の取消しと法定追認






本番試験も近くなってきましたので、今日は問題を一つ出してみようと思います。



この問題がすんなり解ければ、だいぶ勉強が進んでいる証拠です。



【問題】
未成年者Aは、親権者の同意を得ずに、BとB所有のパソコンを購入する契約をした。Aは成年に達した後、それが取消すことができる行為であることを知らずに代金全額をBに支払った。そこで、Aは売買当時に未成年者であったことを理由として、当該売買契約を取消すことができるか。



未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は取消すことができますね。



民法第5条 (未成年者の法律行為)
1 成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。




では、Aがパソコンの売買を行ったのは未成年者の時なんだから、取消すことができるようにも思えますが…実は取消すことができません。




なぜか…Aは代金を支払ってしまったからです。




民法第125条 (法定追認)
前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一  全部又は一部の履行
二  履行の請求
三  更改
四  担保の供与
五  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六  強制執行




125条1号にあるように、Aは取消すことができる行為について代金を支払うという「全部の履行」をしてしまっています。Aは、Bとの売買契約について、法定追認をしてしまったということです。




よって、Aはもはや取消すことはできません。




民法第122条 (取り消すことができる行為の追認)
取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。




民法第120条 (取消権者)
行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。




122条は120条に規定する者が追認すれば、もはや取消すことができないと規定していますね。




ここで、注意することが2つあります。





まずは、124条です。

民法第124条第1項 (追認の要件)
追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。




「取消の原因となっていた状況が消滅した後」というのは未成年者が成年に達した後のことを指します。



Aは、成年に達してから代金を支払っていますので、Aは有効に追認を行える者になっていたということですね。


125条が言う「追認をすることができる時以後」というのは、未成年者の場合、成年に達したとき以後のことを指します。




そして、もう一つは、


未成年者が成年に達した後、追認をする場合は、その行為が取消すことのできるものであるということを了知している必要はないとされているということです。



Aは、取消ができるんだということを知らずに、追認(法定追認)を行ったとしても、その追認は有効です。この点、成年被後見人とは違いますね。成年被後見人についての条文をあげておきます。



民法第124条第2項 (追認の要件)
成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。






まとめます。


Aは成年に達した後に(取消しの原因となっていた状況が消滅した後に)、Bに対して代金を支払った(全部の履行による法定追認)ので、もはや取消すことはできません(122条)。そして、未成年者の場合、追認を行うに際して、取消すことのできる行為であることの了知は必要ありません。




【答え】

Aは取消すことができません。




ちなみに取消権は時効によって消滅します。



民法第126条 (取消権の期間の制限)
取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。




「追認をすることができる時」とは、取消原因が消滅した後のことですから、成年に達したときから5年で消滅するということです。



なかな骨のある問題だったのではないでしょうか。いろんな条文知識が必要ですからね。












お読みいただきありがとうございました。



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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | (民法)法定追認 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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