2014年10月20日

(行政法)行政上の法律関係〜権利濫用禁止の原則の適用〜




民法第1条第3項には、権利の濫用を禁止する旨の明文の規定があります。



民法第1条第3項 (基本原則)
権利の濫用は、これを許さない。




これは、第2項の信義誠実の原則同様、法の一般原則として、行政上の法律関係にも適用されることがあるとされています。



今回は、この法の一般原則である権利濫用禁止の原則が適用された事件について見ていくことにします。



余目町個室付浴場事件(最判昭53.5.26)


【事案】

Aは山形県余目町に個室付浴場の営業を行うために、知事から個室付浴場の営業許可を受けた。しかし、地元住民から激しく反対されたため、山形県と余目町はその開業を阻止するため、当時の風俗営業等取締法の「児童福祉施設から200メートル以内では個室付浴場の営業は禁止される」という定めを利用して、急遽、児童福祉施設を誘致しその設置認可を行った。そのためAは営業停止処分を受け、個室付浴場の営業ができなくなったので、営業停止処分の取消しと国家賠償を求めて提訴した。


【判旨】

「本件児童遊園設置認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であり、かつ右認可処分とこれを前提としてされた本件営業停止処分によってAが被った損害との間には相当因果関係があると解するのが相当であるから、Aの本件損害賠償請求はこれを認容すべきである。」


※余目町⇒あまるめまちと読みます。


個室付浴場とは、いわゆる風俗店のことを指します。


Aは適法に営業許可を受けた後、行政庁により半径200メートル以内に児童福祉施設を設置されてしまったため、当時の風俗営業等取締法に反する状態となってしまい、営業停止処分を受けてしまったのです。


Aからしてみれば、なんだよそれ〜そんなんありかよ〜、ってなりますよね。


この事案では、行政庁は風俗店の開業を阻止することを目的として児童福祉施設の設置認可を行っています。


本来、児童福祉施設の設置認可はこのような目的をもって行われるものではありませんよね。児童の健全な育成のためとか、保護者の負担の軽減のためとかそういうのが本来の目的であるはずです。


行政庁は、行政権を本来あるべき目的とは違う目的で行使してしまったわけです。



権利濫用禁止の原則とは、一見すると権利行使の外観を備えてはいるものの、その権利の本来の目的から外れているが故に、実質的には権利行使とはされずに違法で無効となるという原則のことです。



児童福祉施設の設置認可処分は、外観上は何ら問題ない適法な行政行為ですが、その目的が本来の目的から外れているので、行政権の濫用となり、違法だということになります。



判例は、行政上の法律関係に法の一般原則である権利濫用禁止の原則を適用し解決を図ったわけですね。












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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | (行政法)総論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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