2015年07月20日

(民法)債権者代位権〜その3



では、例外的に代位行使することのできる場合の判例です。



名誉棄損に基づく慰謝料請求権の代位行使(最判昭和58・10・6)

「思うに、名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰藉料請求権は、金銭の支払を目的とする債権である点においては一般の金銭債権と異なるところはないが、本来、右の財産的価値それ自体の取得を目的とするものではなく、名誉という被害者の人格的価値を毀損せられたことによる損害の回復の方法として、被害者が受けた精神的苦痛を金銭に見積つてこれを加害者に支払わせることを目的とするものであるから、これを行使するかどうかは専ら被害者自身の意思によつて決せられるべきものと解すべきである。そして、右慰藉料請求権のこのような性質に加えて、その具体的金額自体も成立と同時に客観的に明らかとなるわけではなく、被害者の精神的苦痛の程度、主観的意識ないし感情、加害者の態度その他の不確定的要素をもつ諸般の状況を総合して決せられるべき性質のものであることに鑑みると、被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、右権利はなお一身専属性を有するものというべきであつて、被害者の債権者は、これを差押えの対象としたり、債権者代位の目的とすることはできないものというべきである。」

「しかし、他方、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであつて、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はないし、また、被害者がそれ以前の段階において死亡したときも、右慰藉料請求権の承継取得者についてまで右のような行使上の一身専属性を認めるべき理由がないことが明らかであるから、このような場合、右慰藉料請求権は、原判決にいう被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、被害者の債権者においてこれを差し押えることができるし、また、債権者代位の目的とすることができるものというべきである。」




遺留分減殺請求権と代位行使(最判平13・11・22)

「遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的思思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができないと解するのが相当である。」




財産分与請求権と代位行使(最判昭和55・7・11)

「離婚によつて生ずることあるべき財産分与請求権は、一個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によつて具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」





判例は、どの権利も原則代位権の対象にすることはできないとしつつも、それぞれ「具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定」、「これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的思思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合」、「協議あるいは審判等によつて具体的内容が形成」を条件に代位行使の対象になりうることを認めています。




4、債務者が自らその権利を行使しないということ



債務者が権利を行使してしまっていては、債権者代位権は使えません。事例の場合で、既にBがCに対して請求していた場合、その結果が良かろうが悪かろうが、もはやAは債権者代位権を行使することはできないのです。
あくまでBが権利を行使していないということが必要になってきます。




5、被保全債権が原則弁済期に到達していること



事例で、a債権は弁済期が到来している必要があります。債権者代位権は、強制執行の準備段階のようなものという位置づけになるので、被保全債権が強制執行可能な状態(弁済期が到来)である必要があるのです。




ただ、例外があります。



民法423条2項
債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。





期限未到来の間でも、裁判上の代位保存行為の代位は可能です。



裁判上の代位は、裁判所が関与することになるので、Bに対して不当な干渉になる可能性がありませんし、保存行為の代位は、未登記の権利の登記やb債権の時効中断など急を要するものが多いので、この程度なら認めても差し支えないだろうということになります。












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posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 13:26| (民法)責任財産保全制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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